2010年08月24日
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感想・映画『カラフル』(2010年版)

Written By: トーノZERO連絡先

 当初、見るつもりはなかったのですが、TVでの宣伝で旧塗装の玉電が一瞬出てきて、見てみることにしました。

感想 §

 というわけで、最初にまとめを書くと「北のアリエッティ、南のカラフル」という感じでしょうか。

 つまり、小金井的な空気感を描けたアリエッティは「川があるぞ川があるぞ、という描写を重ねつつ最後に川が登場」という内容。一方のカラフルはというと、二子玉川的な空気感が出ていて、こちらは多摩川の脇。

 ちなみに、カラフルの主人公の部屋にあるいちばん目立つ絵は、夕日をバックに鉄塔と送電線。アリエッティを作ったジブリは脇に鉄塔、真上を送電線。

 だから、同じようなモチーフを描きつつも、片方は東京西部の北にある小金井を指向し、カラフルは東京西部の南にある二子玉川を指向するわけですね。

更に感想 §

 というわけで、主人公達が砧線の廃線跡を辿っていく描写ですが、途中までおいらも歩いたことがあるぞ。そういう意味で、まさにあの地域のあの空気感がよく出ています。けして、日本全国どこでもいいわけではなく、明らかに二子玉川とその周辺です。

もっと感想 (でもネタバレ防止) §

主人公の正体は驚くほどびっくり。それを示唆する描写もほとんど無いまま映画が終わりそうになって、どうなるのだ?と思ったらあのオチとは。

結局、命というのは自分のものだから好きにして良いのではなく、そもそも個人の所有物ではないわけですね。

もう1つ言えば。この映画のヒロインは実は母親です。そして、母/妻を他の男に寝取られるという話でもあるわけですね。そういう要素も併せのんでこそのカラフルさということなのでしょう。

更に余談の感想 §

 エンディングの文献リストの最初に出てくる「玉電が走った街今昔」は持ってるな。他の本はチェックしきれなかったけど、照らし合わせたら他にも持ってる本がありそうだな。

 あと、残された路線の説明の際、「下高井戸」という言葉も1回出てきましたね。